油の循環

この地球上の自然界において、水の循環についてはよく知られていて、学校の授業でも習う。

水は地球上の海にあり、海水は蒸発して雲になり、雨を降らしてあらゆる生き物の生命をうるおしている。
雨水は生物が根から吸い取ったり、飲料水としたりして体内に取り込み、その生命維持をしている。

ところで油も循環していることは学校では教えられていないようで、ほとんどの人は気づいていないのではないだろうか。

油は地中にあり、それを植物が吸い上げて、太陽のエネルギーと合成して活性化する。
栄養化した油は、動物や昆虫に取り込まれ、これまた栄養の触媒のような働きをしてエネルギーの運搬を行う。
そして、動物はその排泄物や、汗、死体などによって油を地中に返し、再び栄養の元となる。
このように、油は常に循環して自然界の生命を養っているのである。

油断大敵。油は常に切らせてはならない。

水と油と塩は人間にとって常に口に入れなければならない重要物質なのである。

水は冷たく、火を消し、体を冷やす。
油は熱く、容易に蒸発せず、冷やしてもなかなか凍らない。火を作って激しく燃える。

水は陰性であり、マイナスエネルギー。油は陽性であり、プラスエネルギー。

この油が地下からもたらされ、いまの地上の人類の文明の陽性のエネルギーとなって、繁栄の礎になっている。

もしかしたら、石油というものは、水と同じような存在であり、海の水と同等なぐらい大量に地球に存在し、循環しているのかもしれない。

最新の研究では、空気中から石油を作り出す、というのがあるらしいと聞いたことがある。
空気中、大気中の二酸化炭素から触媒を使って超低コストで石油を作れるという。

さもありなん、と思った。

有機物にせよ、無機物にせよ、その含まれる油を燃やした後、灰が残る。
灰にはあまり油分があるとは思えない。が、発生する煙には油分が大量に含まれており、壁にへばりつき、油でテカテカになる。台所の換気扇の掃除をさせらたとき、そう思った。
その煙を大気や雲がさまざまな場所へ運んで、生物の栄養に戻っているのだと思う。

油は、地球上の生物にとって、人間にとって、塩分と同じぐらい重要なものだと思う。

肥料も農薬も除草剤も、すべて油であるし、植物のタネには多量の油が含まれており、その油にはエネルギーが、生命力が凝縮しているのである。
鳥などの卵だってそうだ。良質な油がぎっしり詰まっている。

油は生命力を集めるものであり、エッセンスである。

肥料を濃くすると、植物は枯れる。除草剤というものは、本来、植物の栄養剤であったと聞いたことがある。濃くしたから枯れるのだと。

知人が芝生用の除草剤をすこし薄めて芝生にまいたところ、雑草は枯れたが、ススキが大量に生えてきて困ったと言っていた。どうやら芝生と同類のススキの栄養剤になったらしい。
その人は灯油をそのススキにかけてみたら枯れたと言っていた。

つまりは、油である。

ということは、現代日本人は油分の取り過ぎで死んでしまうのではないだろうか。
ちょうど除草剤のように。

植物は肥料分を多量に与えると死んでしまう。それと同じなのではないだろうか。
現代日本人の油の摂取量はおそろしく多い。有史以来、日本人がこれほどの油分を口から入れたことはなかっただろう。

ドクダミというやつは、迷惑で、ガレージのアスファルトの隙間から生えてきて、根っこがはびこり、アスファルトを破壊してしまう。ボロボロにしてしまう。
なぜか他の雑草はめったに生えてこないが、あのドクダミだけはアスファルトが好きなようだ。
どうやらあれは石油の成分を取り込んで油を集めているらしい。

ドクダミのことを十薬(じゅうやく)ともいい、漢方薬に使うが、どうも石油の成分を吸い取ってその成分に薬効があるらしい。
さらに、その根っこにも油分が多く、薬になるとか。

たぶん、雑草を集めて、水に沈めて窒息させて殺し、その成分の油を集めたなら、とてもいい肥料か薬になるのだろう。

油断は大敵だが、過ぎたるは及ばざるがごとし。大量の油も大敵、だ。たまには油断したほうがいいのかもしれない。