日本の神々の姿

マンガや絵にかいてある神さまの姿は、おおかた、白いヒゲをあごまでたくわえて、はげていて、頭の上に白い輪っかが浮かんでいて、水戸黄門さまが使っていそうなつえをついている。
だいたいが、白い着物を着ていて、輝かしく光っていて、白い雲に乗っている。

どうしてこういうイメージになったのだろうか。
ぼくが思うに、映画「十戒」に出ているモーセ(チャールトンヘストン)の姿じゃないだろうか。
もしくは、ヨハネの黙示録で描かれている天使とか。

すなわち、聖書にみられる、キリスト教のイメージだと思われる。

ところが、いろいろと調べてみると、どうやら違うらしいのである。
(参考文献 嘉津間問答問・幸安仙界物語・勝五郎再生記聞)
すくなくとも、東洋では。

神さまの格好はどんなかというと―――

まず、真っ黒くて、丈の高い、ふちのある帽子をかぶっている。山高帽のような感じ。
そして、全員、ひげをたくわえていて、ひげのない神さまはひとりもいない。全員、ひげを生やしている。ひげの形は一定していない。

さらに、服装であるが、これも真っ黒い着物で、内側のじゅばんは白いこともある。
靴はどうやら木靴のようで、はだしではない。

武器を帯びていることもあり、その場合はたいてい、腰にぶら下げた剣(つるぎ)である。

そして、なにやら、カバンを持っていることもあって、ハンドバッグのような形で、片手(左手)に下げている。いったい何が入っているのかは、わからない。

うちわを持っていることもあれば、ないこともある。巻物を持っている場合もあるようだ。魔法の杖のような棒を持っていることもある。
聖徳太子のような笏を持っている神さまもいる。

いろいろな記録を総合すると、こういう姿がいわゆる「日本の神さま」であり、東洋全般の神さま、氏神様、産土神(うぶすながみ)さまの見た目となる。

つまり、格式の高い、身分の高い神さまは、黒づくめなのである。

先に示した、白いきものを着たおじいさんとは、ちょっとようすが違う。
神さまには、たしかに白いひげのおじいさんもいるが、ほとんどが壮年の、黒いひげのオジサンなのだ。

そこで、思い浮かぶのだが、この格好は、いわゆる死神に似てないか? 魔女の格好にも似ている。

また、ユダヤ教のラビの格好もほとんど同じであるし、なぜか韓国ドラマの時代劇に出てくる警察官の扮装とほぼ同じだ。

さらに、イスラム教ではひげを生やさないといけないらしいし、イスラム教の宗教指導者もだいたい、こういう格好をしているようだ。

そういえば、日本の神官も、背の高い黒い帽子(烏帽子)をかぶっていて、黒い着物を着ている。
で、白や赤の着物(狩衣)は、ちょっと位が低いらしい。(よく知らない)

おそらく、古代の神官はひげを生やしていたはず。いつから日本の神官はひげを剃るようになったんでしょうね。

本来は、あの帽子をしたまま神前で礼拝するのが本来で、確かに神官は神さまの前で帽子を取ったりはしない。
おそらく、礼するときに帽子を取るのは、西洋の風習なのかもしれない。

そして、神社の祭神は、たとえば「コノハナサクヤヒメ」だったり、「須佐之男命」だったりする。
古事記の日本神話に出てくる神々の名前である。が、各地にあるその神社にその名前の神さまが常時いるとはちょっと考えにくい。

確かに、神々はいくらでも分霊できるので、自分の霊魂を多数に分けて常駐させているという考え方もできる。
が、思うに、そうではなくて、各地の神社や祠ではその地域の神霊が、分担して神社に鎮座していて、実際には祭神としての神さま(たとえば御祭神・天照大神とか)ではなくて、役職として、別の神さまが仕事をされているのではないだろうか。

いわば、お役所の役目として「役職名」として、その神社に配属されているのではないか? と思う。もちろん、その神さまは、創建以来、ずっとそこに鎮座されているわけだが、決して、祭神である「アマテラス」とか「スサノオ」ではなくて、生前は「鈴木太郎左衛門」という名前だったのかもしれない。

その鈴木さんが神になって、その神社におわす、というわけである。
あくまでも、ぼく個人の勝手な意見だが。