巨大なビル群を作ったのは誰?
よく、大きな橋を架けたり、巨大なビルを建てたりすると、なんだか知らないけれど、これを作ったのは自分だと言う人が何人も出てくる。
「このビルは、オレが作ったんだ」
「この連絡橋は、オレが架けたんだ」
しまいには、
「この町はオレが作ったんだ」
などと言う人たちが、いっぱい出てくる。
たとえば、建築設計士、建築デザイナー、ゼネコン幹部、知事、市長、政治家(市会議員から総理大臣まで)、不動産業者、銀行の頭取、コンサルタント、投資家、などなど、いっぱいいる。
しまいには、現場監督や現場作業員まで言い出す始末。「オレが作ったんだ」と。
はたして、どの人が作ったのだろうか。
答えは、誰でもない、大きなマネーの流れが作り出したのである。
まるで川の流れのような、大きなお金の流れがその仕事を生み出し、それに多数の人間が乗っかっただけなのだ。
マネーの流れに浮かぶ舟に、うまいこと、乗っかっただけなのである。
そして、流れのままに、書類に自分のハンコを押しただけなのだ。
この日本の社会は、巨大なカネの流れによって動いている。
愛や正義や真実によって動いてはいない。そんなものはなんの影響もない。むしろ、愛と正義と真実はマネーの流れによって変わってしまっている。
この事実はとても大事なことである。
もし、事業で、莫大なカネを稼ぎたい人がいるならば、この巨大なマネーの流れを見極めなければならない。
その潮流にうまく乗れば、何も努力せずとも、大金を手にすることができるからだ。
そして、このカネの流れこそが、われわれ個人の自由を奪っている犯人なのだ。
さらに、この流れに乗って莫大な金を手にしようとすると、その流れの強さに巻き込まれ、死んでしまうこともあるし、流れが変わった時に方向転換を誤ると、その舟は同乗者とともに難破してしまい、みんな死んでしまう危険がある。
ましてや、小さな個人など、何もしなくても、この流れに飲み込まれて命を奪われることもあるだろう。
そして、「自分が作った」と豪語している人たちは、みんな、来る日も来る日も、この流れに影響を与えそうな事柄を丹念に、新聞やテレビ、インターネットなどで調べまくっているのだ。細大漏らさずに。
流れの変化に乗り遅れないために。