幽霊?アタマがおかしい?
戦後、少なくとも平成になる前までは、大衆の面前で、
「わたしは、霊が見える。悪霊が話しかけてくる」
などと言えば、アタマがおかしい、と言われた。
下手すれば、精神病院へ入れられて、出られなかった。
本当である。
すくなくとも、前の大阪万博以前の時代は、「迷信追放」が当たり前で、カッコイイこととされていて、「科学的」が絶対で、「封建的」とか「迷信」といわれれば、だれも反対できなかった。
そして、「民主主義じゃない」とか「非科学的」「迷信」と言われれば、黙るしかなかった。
実際、その頃は、地方では、しょっちゅう「キツネが憑いたから追い出す」といって、親族を棒で殴り殺す事件が多発していたものだった。
「霊的現象」はイコール「迷信」。「迷信」イコール「悪」だったのである。
「幽霊なんか、いるはずがない」と、大人たち(学校の先生)は口をそろえて子供に教えていたし、そんなことを言えば、怒られた。
たとえば、いまでは神社に行って深々とお辞儀しているが、なんだかそんな雰囲気じゃなかった。
数年前、いや10年ほど前になるかもしれないが、近所の神社へいつものように初詣に行って、驚いてしまった。
いやはや、すごい人出である。まるで繁華街である。生まれてこのかた、こんなにこの神社に人が来たことを見たことがない。
同じ年に、妻の実家の近所の神社に行ってみたら、これも驚いた。100人ぐらいの人間が並んで参拝していたのだから。それまではせいぜい3~4人だったのに・・・
このひなびた神社をどこで知ったのやら…
それに、なぜ一列に並ぶのか? 神さまには並ぶ必要はない。お役所じゃないんだから。
これほどの人が集まるということは、神さまを信じているんだろうなあ。と思うとなんとも不思議でならない。
戦後間もなくの言葉を借りると、それは「非科学的」ではないか。
時代は変わる。
たぶん、安倍政権が長く続いたからではないかと推測している。
「幽霊が見える」なんて言おうものなら、狂人扱いされて、精神病院に入れられた時代から、こんなに変わったのである。
なぜなら、インターネット上では、平気で「霊が見える」「守護霊が守ってくれた」「呪われた」はては、「宇宙人が日本人を守ってくれている」なんて言ってる人、いっぱいいるんですから。
なかには、まったく信じていないのに、エンタメとして、商売として利用している山口B氏みたいな人も見受けられるが、それにしても、真に受けている人がいるから、商売にしているのだろう。
以前は、そんなことがあっても、「アタマがおかしい」を言われるのがイヤで、黙っていたものだった。それが、いまでは平気である。むしろ、すすんで言っている感がある。
むかしは「カッコ悪いこと」が、いまでは「カッコイイこと」に、なっちゃったのだ。
「アタマがおかしい」どころか、「東大卒、天才学者」の方々が、おおまじめで、「アタマのおかしい」ことをYouTubeなんかで、言いふらしているんですから。
おかげで、ニセ能力者が、雨後のタケノコのように、ニョキニョキ出てきたのではないか?
「宇宙に行く子供」というYouTubeチャンネルがあって、ぼくはそれをときどき拝見しているが、あれだけはまちがいなくホンモノだと思います。
でも、他のおおかたは、???です。わかりません。
とにかく、もう、おおっぴらに「霊が見える」と言っても「アタマがおかしい」と決めつけられない時代になって、ほんとうによかった。