才能と遺伝の関係

こどものころから「努力すれば、夢はかなう」などと教えられてきた。しかし、いまではそんなことはないことがわかっている。

たとえぼくがどんなに努力しても、大谷翔平のような野球選手にはならなかったのは確実だし、ビルゲイツのような大金持ちになれなかったのは確実だ。
なぜなら、彼らは生まれつき、その才能があったのだし、ぼくは平均以下の落ちこぼれであるからだ。
しかも、努力しない、なまけ者ときている。

よく「あなたは本当は才能がある。やればできる」などと言う人がいるが、そもそもやらないから無能なのだ。努力しないから無能なのである。

ずっと前に「言ってはいけない」という新書を読んだのだが、人間の才能は、すでに生まれ落ちたときには両親の遺伝によって決まっているという。
これは、ぼくのいままでの経験と見聞とにほぼ一致している。

スポーツなどの運動神経はもちろんだが、アタマの良さは、まちがいなく遺伝すると思う。
たまに、アタマの良い両親のもとにアホな子供が生まれるが、それは例外である。逆にアホな両親のもとにリコウな子供が生まれることはめったにないが、あれは環境も影響していると思う。
スポーツしかり、である。

ただ、どうしても子供のアタマが良くないと具合の悪い場合がある。家庭がある。
悲惨な例もある。

ある、著名な医師の家に生まれた男の子が、両親の期待にこたえるべく、一生懸命に勉強していた。
ある日、その子は、夜、勉強中に、机に突っ伏したまま亡くなっていた。

いっておくが、両親は強制したわけではない。ただ、その子は両親のために自発的に勉強していただけなのである。そもそも、勉強が原因で亡くなったわけではないだろう。持病があったのかもしれない。
しかし、世間はそうは見てくれないのである。

アルコール中毒や犯罪傾向、性格までもが遺伝しているし、商売人の子は商売がうまい。
ぼくの知っている範囲では、旅館業と魚屋、八百屋の子は商売がうまい。

アルコール中毒の父を持つ、ある会社の社長さんは「オレは、絶対に親父のようにはならん。アル中になど、絶対にならん」と言っていたのに、結局アル中になって死んだ。
なぜか、その弟さんも同じく、アル中になって亡くなられた。

そういう環境に育ったからだという人もいるが、どうしてもそれだけではないと思えるのだ。

このごろは、よく、「金持ちの子供は、教育が行きとどくから、知能が高くなって、おとなになって収入が多い」などと、おっしゃる方がおられる。確かに、そういう面もあるだろうが、ちょっと違うと思う。

金持ちの子は、どんな方法であれ、金を集めるのが上手な才能を受け継いでいるので、金持ちになったのであろうと、ぼくは思う。

さっきの例でいうと、魚屋とか八百屋は学歴がなくても金持ちである。テレビや映画などの映像情報では、旅館の息子とか、魚屋、八百屋はどちらかというと、素朴で貧乏なイメージで描かれているが、ぼくの知る限り、みんな金持ちである。

高級スーツを着こなして、高級車をこれみよがしに乗り回している人たちのほとんどは、借金をしていて、見た目と違って金持ちではない。商売上、金を持っているように見せているのだ。
なぜ知っているかというと、本人たちが言っているのを聞いたからである。
たしかに、何億ものお金を動かす商売なのに、ポンコツの軽トラで来られたのでは、ちょっと不安になるかもしれない。

ユダヤ人とかアラブ人、中国人が商売上手なのも、やはり何千年ものあいだ、商売をしてきた先祖の遺伝のせいではなかろうか。

日本人がやたらに好戦的で、器用な民族であるのも、遺伝ではないだろうか。