2025年7月、日本は滅亡しない
インターネット上では、いろいろな都市伝説、陰謀論が話題にあがっている。
いわく、
――日本最古の秘密結社、八咫烏(ヤタガラス)
――2025年7月に日本滅亡
――日本に救世主があらわれる
しかし、どうにもぼくには信じがたいのである。誰かが捏造したか、小さな話を大きく広げたのにちがいない。
まず、これらの話題の多くはYouTubeでさかんに取り上げられている、という事実がある。
ここではYouTubeについては多くを語らないが、言いたいことはたくさんある。が、いつが次の機会にしておこう。
YouTubeでは、再生回数が多いと、けっこうな収益がGoogleからもらえるらしい。すると、当然、専門職のYoutTuberたちは、再生回数を多くするために、話題性のあるものを取り上げざるを得ない。
すると、結局はテレビ局と同じで、「脅かし」が幅を利かせることになる。ひとは、あたりまえの話よりも、不安な話を好む。「犬が人を噛んでも話題にならないが、人が犬を噛んだら話題になる」とは、むかしから言われている真理であろう。
人を脅かすには、やはり、恐怖をあおるに限る。
だから、古来「人類滅亡説」が、いつも話題になっているのである。
インターネットでは、こういった「脅かし情報」があふれかえっており、多くの人々が影響を受けている。
当然、ぼくもそのひとりだ。
余談だが、TickTockという中国製アプリでは、アメリカ政府の悪評であふれているらしい。だからアメリカでは禁止処置がとられたという。たぶん、日本政府の悪口もいっぱい出てくるのだろう。
それはとにかく、ぼくはわりに世間のことを知っているほうだが、京都に住んでいても、八咫烏という結社については聞いたことがない。思うに、誰かが捏造したのではないか? それを影響力のある人が信じ込んだのではあるまいか。ほかに秘密結社というか、地下組織はいっぱいあるようだが。
また、2025年(今年)7月に大災害が起こって日本が滅亡する、などというのは、でたらめである。
だだし、大災害が起こるのかもしれない。それはわからない。
しかし、もし、大災害が起こっても日本は滅亡しない。なぜなら、日本という国家は、国土で成り立っているのではないからだ。この国は、いわゆる「国体」という構造によってなりたっているので、天皇家とその権限が、形式的であるにせよ、残っている限りは決してなくならない。逆に言えば、天皇制とその権限の構造がなくなれば、国土があっても日本は滅亡する。
ユダヤ国家が、国土がなくなってもユダヤ教がある限り、存続し続けたのと似ている。
日本国は、たとえ経済が破綻しても、国土を失っても、他国に支配されてしまっても、国体を維持している限り、決して滅亡しないのである。
日本に救世主があらわれるというのも、ありえない話ではないが、どうにも信じがたい。なぜなら、日本人が全世界にアピールするのに、この小さな島国で、日本語で、世界を救うのは非常に分が悪い。せっかくなら英語圏で、世界に影響力がもっとも強い、アメリカ合衆国にあらわれるほうがいいに決まっている。